911まで1week

カブキチは死んだ振りをしていたのか、余りの暑さに気絶していたのか、
夜になって部屋が程よく冷えてきた頃いつものパフォーマンスをして
「俺は生きてるんだぜ!」という所を見せてくれた。
そのパフォーマンスとは、ひっくり返ってバタバタ手足をばたつかせる事。
いつぞやも「カブトムシは一匹もいなくなってしまった」と落ち込んでいたら
ケースからギィーギィーバタバタ音がするので見たらひっくり返った
カブキチが大騒ぎをしていた。
元に戻したら餌に喰らいついた。
昨日もそうだった。ホッ…

今日は華氏911を見てきた。2時間前に着いて座席を予約をしに行ったら
残り6席だった。リザーブできた後昼食を食べに行ったら塩っ辛くて
あんまり美味しくなかった。

映画は一言でいうと「酷評された理由はこの映画が余りにもリアリティに
満ちている」と言う事だ。
私がムーアサイドに立っているからリアリティに満ちていると
思うのだということは判っている。
恐らく米国でも日本でも権力者側に近い立場(思想が)にある人なら
見もしないだろうし、見ても激怒するか「馬鹿げたたわ言だ」と
一蹴するだけだろう。

ブは知性のかけらも無く笑い方は野卑でバカみたいだった。
本当にそういう人なのか、ムーアがわざとそういう場面ばかり
ピックアップしているのかはわからないが…。
彼は子供のような純粋な表情で演説する。
そして時折下らないオヤジギャグのようなジョークを飛ばし
受けるかな?とばかりに会場を見渡している時の顔は、とても無邪気に見えた。

だがそのハ○チのような人間が次から次へと繰り出す政策はこの上も無く
残酷で陰惨だ。

私は今まで目を背けていたアフガニスタンイラクの惨状を目の当たりに
する羽目になった。
内臓がはみ出たような死体。悲しみに慟哭する母親。
心臓をえぐるような爆弾の爆発音。
ツインタワーは全く映らなかった。代わりに映ったのは
そこを見上げて哀しみの余り絶句する人たちと
上から降ってくる塵芥だった。

いい映画だと思う。
マスメディアがとりあえず酷評をしなければ、だれもがそれを真実だと思うだろう。
見に行きたいと思うだろう。

もう一つメッセージがあると思う。
ムーアはユーモアを取り混ぜていろいろな情報をわれわれに
送りつける。決して押し付けがましくは無い。

きっとケリーは勝たないだろう。
ありとあらゆる手段を使って汚い手を使ってブ陣営は勝つだろう。
私は映画を見終わってそう思った。

ブもプもありとあらゆる手段を使って対テロ戦争を続ける。
そして一瞬の間も誰も気の休まる時が無い。
人類全体が「恐怖」によって支配されている。絶え間ない
恐怖にジワジワ晒される事で、権力者の言うなりになっていく。
「恐いから助けて!何でも言う事聞くから!」

ムーアは「だからどうしろ」そういう提案はしていない。
映画を観てどう思うかはそれぞれに任されている。




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