自殺した

高校時代の同級生が自殺したと、夕方電話が掛かってきた。
すごいショックだった。
母が
「ものすごく勉強もよく出来てカッコよくて運動神経も良くて
人気者だったんだってネェ」
と言ったので「そうだったと思う」と答えた。



電話を切って、ふと私の頭にあったのは、別の子の顔だった。
例えば自殺してしまったのが田中君だとすると、私の脳裏には
田山君だったと言うか。



待てよ…?田中君ってどんな子だったっけ。
ところが頭は真っ白けのまんまで、全然思い出さないのだった。



それでも、
どうして彼は死を選んでしまったのだろう。
なんでそこまで絶望していたのだろう。
…そんな思いが浮かんでくる。




彼とは別の、同級生だった人の別の話。
その人も明るくて元気が良くて人気者だった。
彼は大学を何浪しても受からずに、とうとう全くの
引き篭もりになってしまったと、聞いた事がある。



私はどちらかと言えば嫌われ者の部類だった。
世渡りが下手で、何をどうして良いか分からない。
閉塞感と孤独感で、私じゃ押しつぶされそうだった。
いつもイライラしてて悲しくて、孤独だった。
どこにも居場所はないと思っていた。
ところが、10代の終わりくらいから急に生きるのが楽に
なった。孤独からも閉塞感からも開放された。
もちろん今でも絶望したり悲しむ事は多々あるけれど、
いずれは開放されるものだし。



自殺しないで欲しかった。
どんなに苦しくてもどんなに辛くても
死ぬより苦しくて辛い事は無いと思うのに…。
息を止めるのは苦しいはず。
どうして彼は死を選んでしまったのだろう。
友達だっていたのに。
また心から笑える日もくるかもしれないのに。





祈冥福